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ざぶん賞実行委員長
東京大学名誉教授
月尾嘉男 月尾嘉男

 汚染されていく地球

 最近になり、プラスチック製品の廃棄が世界規模で問題になっています。大変に便利な材料で包装材料や液体容器だけではなく建築材料や電子機器などにも使用され、人類が使用する数量は過去70年間で200倍に増加してきました。それらの一割は再生利用され、それ以外は焼却や埋立されているものの、かなりが投棄されて最後は海洋に流出し、海水を汚染するだけではなく、そこに棲息する生物にも被害をもたらしています。
 日本では春先になると大気が黄色になることがありますが、これは西側の大陸から飛翔してくる黄砂の影響です。黄砂は自然現象ですが、最近は人間が化石燃料を燃焼させて空気を汚染させる現象が顕著になってきました。以前はイギリスやアメリカなど先進諸国の現象で死者が発生するほどでしたが、アジアの都市でも顕著になり、清浄な空気を缶詰にして販売する冗談のような商売も登場しています。
 土壌は農業にとって重要な環境ですが、地中に生存する生物にとっては生活空間です。その土壌も急速に汚染されています。主要な原因は農薬の散布です。世界全体では過去50年間で農薬の使用は約14倍も増加し、中国では21世紀になってからだけでも単位面積あたり3倍になっています。それは栽培される作物に影響するだけではなく、土中の生物が減少して土壌が劣化していくという長期の問題の原因になっています。
 さらに深刻な問題は淡水の汚染です。淡水は空気とともに生物の生存にとって必須の物質ですが、最近では世界の3割の人々が安全な淡水を入手できないと推測されています。人口の急増による量的不足だけではなく、工業廃水や生活排水によって汚染が拡大している影響です。海洋、大気、土壌、淡水のいずれも人間にとってだけではなく、あらゆる生物にとって必須の環境ですが、この汚染問題を解決していくことは21世紀の重要な課題です。

●Profile
月尾 嘉男(つきお よしお)
1942年愛知県生まれ。
1965年東京大学工学部卒業。
1971年東京大学工学系大学院博士課程修了。1978年工学博士。
名古屋大学工学部教授、東京大学工学部教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授、総務省総務審議官などをへて、2003年より東京大学名誉教授。専門はメディア政策。著書は「IT革命のカラクリ」「縮小文明の展望」など。趣味はカヤック、クロスカントリースキー。
【公式ホームページ】
月尾嘉男の洞窟 http://www.tsukio.com/